2022.08.04
SDGsマーケット
グリポン(ケイナンクリーン)
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岐阜県東部にある恵那市や中津川市。森林と水に恵まれたこの地域で、ケイナンクリーンは30年以上にわたってごみ処理や廃棄物の回収の事業に取り組んできた地域密着の企業だ。そんな地場産業がこの春、全国の消費者を意識した初の商品を打ち出した。10年の開発期間を経て完成した洗剤「グリポン」だ。
展示会などでお披露目すると、さっそく業界の目にとまり、大阪府内の百貨店などで取り扱いが始まった。「『なかなか落ちなかった汚れが驚くほど落ちた』『ネットでも店舗でも、もっといろんなところで売ってほしい』。そんな嬉しい反応をいただいています」と話すのは、ケイナンクリーン企画室長の近江隼さん。
黒(業務用)、白(一般家庭用)のボトルに華やかな色使いのブランドロゴが描かれた、洗練されたパッケージの「グリポン」の自慢は、油汚れに対する強力な洗浄力。ガスコンロなどのキッチン周りや、換気扇の清掃にとくにおすすめだという。それでいて、界面活性剤を一切使わない自然原料のため、環境への負担が少ないことも特徴だという。
洗浄力の高さと、環境への優しさ。両立させる鍵となったのは、ある「困りもの」だった。
産廃業者の責任として環境保全に力を入れてきた同社は、2010年代に入り環境に配慮した経営管理に関する国際規格(ISO)を取得。その取り組みの一環で植物性の油を原料とする「バイオディーゼル」の精製も始め、自社の収集運搬車に使うことで二酸化炭素排出量を大幅に減らした。
次に問題になったのが、バイオディーゼルを精製するときに出る「廃液」だった。
当初はそのまま処分するしかなく、「本当の意味で環境を守る取り組みになるのか」という悩みに直面したのだ。それを解消するヒントになったのは、廃液に含まれる「グリセリン」が持つ、油と水を強力に馴染ませて乳化する特徴。「この特徴を生かせれば、環境への負担が少ない新しい洗剤が作れるのではないか」と構想が固まった。
グリポンという名前の由来は、鍵となったグリセリンと、「GRIP ON(汚れをつかんで離さない)」から名付けた造語。10年の開発期間のなかで、レストランや家庭のキッチンに調和する見た目と、使いやすさを両立するパッケージづくりにも1年を費やした。そのこだわりは、環境と真剣に向き合いながら成長を目指す企業の夢に直接つながっている。
「産廃業者というと、どうしても地味なイメージを持たれがちです。けれど地域の環境に最前線で向き合う仕事でもある。自分たちだからこそ開発できた商品を通じて、これからは『かっこいい』という価値をもっと高めていきたいです」と近江さんは言う。