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インタビュー

2022.09.09

住まい

警備会社のジビエ肉事業 安全安心のノウハウぎっしり

ALSOK/綜合警備保障

ALSOKが販売している房総半島の猪肉「ALSOKのジビエ」

野生のイノシシやシカなどが農地を荒らす害獣問題。農作物の被害額は全国で年間160億円にもなる。一方で害獣を仕留める猟師は高齢化と後継者不足に直面。たとえ害獣を捕獲しても運搬・処理まで担う体力がなく食肉としての有効活用も進んでいない。そんな負のスパイラルを断ち切ろうと、警備のプロ集団が立ち上がった。

綜合警備保障グループのALSOK千葉は2016年、認定鳥獣捕獲等事業者免許を取得して千葉県の房総半島で害獣の捕獲・回収業務に乗り出した。

きっかけは2013年に発売した鳥獣捕獲用の監視システム。防犯でも利用されるカメラやセンサーなど独自の感知システムを使って害獣がワナにかかったことを通知してくれる。猟師による害獣の捕獲・回収作業を効率化できることから、被害に悩む猟師らの導入が進んだ。

そのうちに「重労働になる害獣の回収・処理もALSOKでやってほしい」との声があがるようになり、いまでは農家や猟師が捕獲したイノシシやシカでも、ALSOK千葉に電話をかければ回収・運搬や行政への手続きをすべて無償で代行してくれる。捕獲者には1頭あたり約1万円の報奨金が自治体から支払われるという。

仕掛けたワナで捕獲したイノシシを回収するALSOK千葉の社員ら

これはALSOK千葉によるボランティアなのだろうか?

いやそうではないらしい。「農家さんや猟師さんから回収した害獣をジビエ肉に加工し販売することで事業として成り立たせたい」とALSOK千葉・取締役の竹内崇さん。

2020年7月には年4千頭を処理できるジビエ肉専門の加工施設「ジビエ工房茂原」(千葉県茂原市)を開設し、食品事業に参入。農林水産省の定める衛生管理等の基準に則してジビエ加工処理施設の証である「国産ジビエ認証(第30号)」も取得した。ジビエ肉の販売先はいまのところ千葉県内の飲食店が中心だが、通販サイトを通じて個人向けにも販売を始めた。

ALSOK千葉が開設したジビエ肉専門の加工施設「ジビエ工房茂原」

安全安心がモットーのALSOKだけに、食品事業にも警備のノウハウが生きている。その一つが追跡だ。捕獲→食肉加工場への搬入→加工→出荷のそれぞれの日時や位置情報、画像をすべてひもづけて記録。ジビエ肉の購入者は商品に記載したQRコードを読み取って確認ができる。野生肉ゆえに感染症検査(E型肝炎ウイルス検査)にも万全を期している。

猪肉はビタミンやコラーゲンが多く含まれ、とくに鉄分は豚肉の4倍、ビタミンB12は3倍。健康志向の高まりとともに近年注目を集めている。とくにジビエ肉の脂身は加熱すると柔らかくとろけるような食感になり、強い甘みがありつつ重さやしつこさが少ない。

ジビエ肉をおいしくいただくことで地域の里山や森林の環境を守り、農家や猟師を助け、捕獲された野生動物の命も無駄にしない。そんな手軽な社会貢献の選択肢がここにある。