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GOOD LIFE フェア2024

インタビュー出展者に聞きました

2022.07.29

住まい

480年つづく職人の街 長く愛せる家具が生まれるところ

福岡・大川家具工業会
福岡・大川家具工業会青年部
大川家具ふるさと納税店


「日本一の家具の産地」といえば? 日本には有名なところがいくつかあるが、なかでも福岡県大川市は、家具類の出荷額、企業数ともに全国トップを誇る。驚くなかれ、大手家具店やインテリアショップに並んでいる商品でも、産地を気にしてみると「実は大川で作られた」というものは多い。「大川」と意識せず愛用している人も、きっといるだろう。

大川の家具づくりは、480年の歴史をもつ。九州一の大河・筑後川が流れ、有明海にもほど近い街は、古くから水運の要として多くの船が行き交い、熟練の船大工たちが腕を振るった。大分・日田で取れたスギが手に入りやすいこともあり、造船や修理で培った技術はその後、「指物(さしもの)」という釘を使わず木材を組み合わせる収納家具へと発展。1960年代には婚礼家具の人気が高まり、大川の家具が全国に広まった。

「婚礼家具は一生もの」。そう語るのは、洋服たんすや和だんすといった「婚礼セット」を作り続ける数少ないメーカーの一つ、丸田木工の丸田雄大さんだ。

「引き出しを何回出し入れしても底が抜けない頑丈さ、スライドレールを使わなくてもスムーズに開け閉めできる作り。婚礼家具には、長く使ってもらうための技術がたくさん詰まっています」。必要とする人がいる限り作り続ける、という3代目の言葉には、「家具の街」に根を下ろすメーカーのプライドがのぞく。

「家具は毎日見て、毎日触れるもの。長く大切にできるものを選んでもらった方が、生活自体が豊かになると思います」

GOOD LIFE フェア2022の会場では、国産の木材を使ったスツール作りのワークショップを予定している。
このイベントのため特別にデザインした。

大川には家具メーカーなど127社でつくる「協同組合福岡・大川家具工業会」がある。人口3万2千人の小さな街ながら、「ここには脚物(イスやテーブルなど)から箱物までいろんな木製品を作る会社や、資材店、金物店、配送ルートなど、木工業に関する企業がとにかくたくさんあります。大川で作れない木製品はない。それが強みです」と丸田さん。

工業会では近年、森の循環をめざして国産材の活用に力を入れている。サステイナブルな木材「センダン」も取り入れはじめた。センダンは、スギやヒノキの2倍ほど成長が速く、15~20年で家具の材木として使えるようになる。硬くて傷つきにくいという魅力もあり、工業会はこれまで全国で400~500本を植樹したという。

工業会の事務局担当者は「家具は大川の基幹産業。木を使う人間として、次世代に還元することが一つの恩返し」と語る。子どもたちと植えた木が、彼らが成人するころ成木に――。そのとき、育てた木で作った机やロッカーを市内の幼稚園や学校に寄贈しよう、そんなプロジェクトも進行中だ。


ふたりは「大川という街で家具が作られていることを、まずは知って欲しい」と口をそろえる。その先に思い描くのは、家具店でのこんな光景だ。
「大川の家具、ありますか?」