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GOOD LIFE フェア2024

インタビュー出展者に聞きました

2023.08.10

GOOD FOOD&CRAFT

米ぬかも「決して捨てない」 米農家のボタニカル化粧品

穴太商店


脱穀しただけの玄米は薄茶色をしている。ここから表面を削り取ることで白米になっていく。この精米過程で生じるのが米ぬかだ。一部は廃棄されることもあるが、新陳代謝に欠かせないビタミンB群、抗酸化作用のあるビタミンE、コレステロールを下げるポリフェノールの一種、γ-オリザノールなどを豊富に含んでいる。

この米ぬかから抽出した保湿成分「コメヌカエキス」を配合した自然由来のボタニカル化粧品が、「Siamam(シアマム)」だ。穴太(あのう)ホールディングスが自社ECサイト「穴太商店」で販売している。

ぬか袋、洗顔せっけん、洗顔フォーム、クレンジング、乳液、化粧水と、ラインナップは全部で6つ。

中でもぬか袋は、うるおい成分やクレイなどの洗浄成分が木綿袋に詰め込まれた優れものだ。湯を含ませ、そっと体にすべらせれば、古い角質を落とし、肌のきめを整えてくれる。顔はもちろん、ひじやひざ、かかとなど、硬くなりがちな部位に使えるのもうれしい。


どのアイテムも無香料、無着色、無鉱物油、ノンパラベン(防腐剤不使用)で、体に優しく、安心して使い続けられる。開発では、長年米ぬかの美容効果を研究している老舗の化粧品メーカーとタッグを組んだ。

ブランド名のSiamamはアイヌ語で「お米」の意味だ。その名の通り、北海道産の「水芭蕉米 うたう」から抽出したコメヌカエキスを使用している。「水芭蕉米 うたう」は、化学肥料や農薬を通常よりも減らして育てた「ゆめぴりか」の特別栽培米。夕張山系の清流を用い、穴太ホールディングス傘下のThe北海道ファームがこだわりぬいて育てている。

穴太ホールディングスのルーツは、1986年に千葉県で創業された葬儀社にさかのぼる。花や食品類は、葬儀ではなくてはならないもの。従来は外注していたが、「自社で手がけられれば、品質に責任を持て、よりよいものを提供できる。お客様のニーズにも柔軟に対応できるはず」と考え、生花や食品の販売を手がけ始めた。

さらに、米穀販売、農業生産へと段階的に事業を広げ、2019年、事業ごとに分かれた6つの法人をとりまとめる穴太ホールディングスを立ち上げた。


穴太ホールディングスと傘下の6法人が分業しながら協力し、農産物を生産、加工、販売しているのが今の姿だ。「自分でつくり、手を加え、売る」からこそ、生産者の気持ちも顧客のニーズも理解でき、Siamamのように、豊かな資源に付加価値をつけたユニークな商品を生み出せる。

ECサイト「穴太商店」で取り扱う商品は幅広い。Siamam以外にも、特別栽培米と米麹だけで作る「北の甘酒スマリ」、米粉でできたパンや麺のほか、米ぬかで加工した繊維のタオル、もみ殻を利用した燃料「モミガライト」など。

もみ殻も米ぬかも決して捨てない。無駄なく、エコで、サステナブル。事業を通じ「人と社会に貢献する」のが穴太ホールディングスの掲げる理念だ。「私たちは農業を通じて、本当の意味での持続可能な社会を目指しているんです」と、経営企画部長の戸波昇さん。Siamamにも同じような願いを込めた。

「環境や社会の持続可能性に関心がある方は大勢いらっしゃいます。でも、なにから始めていいのかわからない。そんな方に、ぜひ自然由来のSiamamを使っていただきたい。Siamamは日常にちょっとした贅沢を添えます。同時に、エコでサステナブルな暮らしに半歩踏み出すきっかけにもなる。そう思っているんです」