2022.08.05
健康&ビューティ
N h e s .
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ブラシやハケが古くから地場産業の一つである東大阪市。天然木と天然毛で作る100%プラスチックフリーの歯ブラシ「turalist(チュラリスト)」は、日本の経済発展を陰で支えてきたこの町のものづくりを守りたいという歯ブラシづくりのプロ、家具職人、植毛職人の思いと誇りが結実して生まれた。
ブランド名はスウェーデン語由来の「Nhes.(ナエス)」。ハンドル部分はブナの木の端材を利用し、腐食防止のためにエゴマ油を3度塗りしている。ブラシ部分は副産物である馬や豚の毛を職人がバランスよく選定し、歯ブラシ1本1本を丁寧に植毛している。毛の太さがブラシの堅さを左右するのだという。
作業場をのぞいてみると、30年のベテラン職人・西本隆子さんが器用な手つきで天然毛をならし、ハンドル部分の先端にあけられた穴に天然毛を植えつけていた。この道の職人は5人ほどしか残っていないという。植毛機は昭和40年代製。すでに製造中止となっていることから、ボルトが1本折れても代替部品を探し自ら修理するほかない。
すべて職人の手作りなので月産200本が限度だ。西本さんは「使ってくれる人の顔を思い浮かべながら丁寧に仕上げています。世の中の役に立っていると思うと、やりがいがありますね」と笑顔を浮かべた。
歯ブラシは毛先が曲がってくることから1カ月ごとに交換するのが一般的だ。だがチュラリストの開発を主導してきた村中克さんは「天然毛は消耗が少ないので最低でも半年間は使い続けられる」と話す。お気に入りの1本を長く使い続けるため、歯ブラシのメンテナンスサービスを新たに始める計画もある。
実は村中さんは、歯ブラシのハンドル部分などをかたどるプラスチック樹脂成形メーカーの経営者でもある。「ある時期からプラスチックが悪者扱いされるようになった。あえて真逆のことをやってお互いが必要とし合う関係性を作りたかった」と話す。
4年前、旅先のオーストラリアで竹製の歯ブラシを見つけ衝撃を受けた。自らの得意分野である歯ブラシを環境に優しい天然素材で作る――。方向性が固まり、日本人の口のサイズに適した歯ブラシ開発が始まった。
知人の家具職人に夢を語ってブナの木の端材でハンドル部分を製作してもらった。そんな折に植毛専業メーカーだったプラスが経営危機に陥っていることを知り、2年前にプラスを支援することを決め、一気通貫の歯ブラシづくりができる体制が整った。
東大阪の町工場の思いが詰まったチュラリスト。開発当初は生み出した責任が重しになった時もあったという村中さんだが、いまは違う。「歯ブラシづくりを通して僕は大きく進化できた。1本を使い続ける新たなライフスタイルを提案したい」と話す。