2022.08.16
人生設計
ウィンドゲート
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終戦直後の第一次ベビーブーム時に生まれた「団塊の世代」は2025年にすべて75歳を超える。それが意味するところは、近い将来、こうした高齢者が保有する資産が子孫に引き継がれていく「大相続時代」を迎えるということだ。
相続遺産をめぐって残された家族が骨肉の争いを繰り広げる事態は、もはやドラマや映画、一部の資産家に限った問題ではなくなっている。「金融資産と違って、家族間で一番もめる原因になるのが不動産です」。不動産相続のコンサルティングを得意とするウィンドゲートの尾嵜豪さんはこう解説する。相続しようにもすぐに現金化できるとは限らないからだ。
相続財産の分け方は「法定相続分」として民法で細かく決められてはいるが、その通りに分ければすべて丸く収まるという家族関係ばかりではない。実際、相続をめぐるトラブルで裁判になるケースでは「5000万円以下」の相続遺産をめぐる争いが全体の8割を占めるというデータもある。
遺産をめぐる家族間の争いを避けるためには生前に相続人が遺言を書いておくことが有効だが、尾嵜さんは「相続人が生きているうちからお金の話はしづらいし、相続は起きてみないとイメージできないと考える人が多い。でも差し迫ってからの対応では遅い」と話す。
39歳で脱サラし、ウィンドゲートを起業した尾嵜さん。それまでは芸能事務所でオーナーが保有する不動産管理などを一手に担っていた。
といっても部署はなく担当は尾嵜さん一人。事務所が保有するビルのリフォームや売却、入居テナントの管理、ビル建設のための土地探しや設計などすべてに関与しながら知識と経験を磨いた。相続の実務では不動産以外の専門家も必要なことから、提携する弁護士や税理士、行政書士といった専門集団が尾嵜さんのビジネスの脇を固める。
尾嵜さん率いるウィンドゲートには別の顔もある。世界最大級のインディーズ・ライブ・コンテスト型フェス「エマージェンザ・ジャパン」の運営だ。2011年に代理店契約を交わして以降、国内大会で優勝者を決め、ドイツで開催される決勝大会に日本代表を送り込み、日本人ミュージシャンの育成にも貢献してきた。尾嵜さん自らも若いころはプロのミュージシャンを目指したという。
「相場がわかっていないと依頼者に正しいことは伝えられません」。不動産相続におけるそんな尾嵜さんのセオリーは、全く関係のない世界にみえて、実は生き残りの激しい音楽業界を目の当たりにしてきたからこそ、より説得力を持って響くのかもしれない。