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GOOD LIFE フェア2025

インタビュー出展者に聞きました

2023.08.17

雑貨&ファッション

足元からほっとする毎日を 靴下のまちが踏み出す一歩

広陵町商工会(y a h a e/e-socks/ELEPHANT CLUB)

広陵町ふるさと会館グリーンパレスにある「広陵くつした博物館」

自分がいま履いている靴下や、クローゼットに入れている靴下。じっくり見比べると、糸の太さや素材、編み方などが、一足ごと、部位ごとに様々違うことに気づくだろう。一見シンプルに見える靴下も、素材選びから始まる製造工程には編み機や職人による作業が多く込められている。
 
そんな靴下について、全国トップクラスの産地として知られるのが奈良県の北西部にあるまち、広陵町だ。町には地元メーカーが手がける商品を展示し、靴下づくりの歴史を紹介する「広陵くつした博物館」がある。ほかにも年2回の「靴下の市」(2023年は11月18~19日)や、製造過程で出るハギレを再利用した作品が全国から集まるリサイクル作品展も秋(2023年は10月)に開かれるなど、町を訪ねると、靴下産業との結びつきの強さがわかる要素にたくさん出会うことができる。
 
古くから大和木綿(コットン)の生産が盛んだったこの地域では、1900年代の初めごろから農家の副業として靴下製造が広まり、地場産業として定着していった。「紡績技術の機械化が進むなか、従来の木綿の生産だけでは立ちゆかなくなる。そんな危機感が、靴下産業をどんどん大きくしていったのでは」と広陵町商工会の職員が教えてくれた。

1989年に広陵町靴下組合が設立された際には140もの事業者が参加し、メーカーからの需要に対応できる体制づくりや高付加価値素材の開発などでも日本をリードしてきた広陵町。近年は外国産の安い製品の輸入が増え、価格競争に巻き込まれるなど靴下産業にとっては厳しい状況にあるが、町内からは「商品価値を高める」「くらしそのものを大事にする」といった、新しい靴下の価値を提案する意欲的な事業者も育っている。

柔らかい風合いと自然な色あいで、ほっとした気持ちになれる「y a h a e」のソックス

1921年に木綿業として設立され、約100年前から靴下づくりに取り組んできた歴史を持つヤマヤは2020年にファクトリーブランド「y a h a e」を立ち上げた。創業者の名前「ヤハエ」がブランド名の由来で、長く受け継いできた伝統と、現代ならではのアイディアやデザインをかけあわせることをテーマに商品を開発している。

特に大切にしている価値観は「遠い未来にも通用するものづくり」。オーガニックコットンなど環境に優しい素材を使い、化学肥料も一切使わず、自然なカラーやシンプルなデザインにこだわっている。やわらかく、どこか素朴な肌触りはずっと触れていたい気持ちにさせる。「自分だけでなく、大切な人にもプレゼントしたくなる。そんな靴下を届けたい」と専務取締役の野村泰嵩さん。

「e-socks」は優れた技術を裏付けに着圧ソックスやレッグウォーマーなどの商品を開発している

1967年創業のウエダのブランド「e-socks」の強みは、技術力。日本人メジャーリーガーをはじめ甲子園に出場する野球部員たちの多くが愛用するスポーツソックスや、アーティストのステージ衣装など様々なニーズに対応してきた。代表取締役の上田航也さんは、靴下が本来持つ「足を保護し、温める」という機能性を大切にしながら、着圧ソックスやアームウォーマー、腹巻きなど身体を優しく包む様々な商品を打ち出してきたと振り返る。

なかでもイチオシは、膝の上まで余裕を持って包み込めるという「超ロングタイプ」のレッグウォーマー。遠赤外線効果を持つ繊維素材を使い、暖かく柔らかい履き心地が自慢だ。オフィスでの冷え対策や、産前産後の身体ケアにもおすすめといい、秋冬の時期に向けてぜひ試してみたい。

「ELEPHANT CLUB」は多彩なカラーリングや素材感の商品を展開し、履く人の気持ちに寄り添う

かつてはメーカーのOEM(相手先ブランドでの製造)専門だった塚本が、オリジナルブランドとして発信するのが「ELEPHANT CLUB」。経験と技術を蓄積してきた工場だからこそ抱いてきた「こんな靴下があったら」という思いを実現し、ネットショップなどで着実にファンを増やしてきた。

営業を担当する塚本日花里さんは「足元から明るい気持ちになれ、快適に過ごせる土台になる、そんな靴下を提供したい」と話す。規格外のブルーベリーやコーヒーの出がらしなどの食品廃棄物から染色した「フードテキスタイル」や、和紙などの素材を交えた独特の肌触りのソックスなど、その日ごとの気分や体調に寄り添うような多彩なバリエーションの商品展開が魅力だ。

日々、私たちが前に踏み出す一歩一歩を支えてくれる靴下。だからこそ、思いを込めた商品を選んで、身につけて欲しい。それが広陵町に息づく靴下メーカーに共通する思いだ。