
朝、肌になじませた瞬間、思わず深呼吸したくなる。バラ園に包まれたような香りに、慌ただしい一日の始まりが少しだけ特別な時間へと変わる。そんな心ときめく体験を届けてくれるのが、青森発のオーガニックスキンケアブランド「Twelve」である。
2025年秋、軽やかな使用感の化粧水と、肌をしっとりと包み込む美容クリームという2つのこだわりのアイテムでデビューした。早くも国内の美容アワードを受賞したほか、カザフスタンやサウジアラビアといった海外の商談会にも出展し、注目を高めている。
ブランドを象徴する特徴は、製品の約8割という高濃度で配合する贅沢なローズエキス。その原料は、製造元のアピイ社が自ら運営するオーガニック認証農園で、愛情を込めて育てられたバラだ。世界のローズ蒸留では茎や葉も一緒に使うのが一般的だが、「Twelve」が使うのは、農園で早朝に摘まれ、ていねいに手作業で選り分けた花弁だけ。100キロもの花弁と100キロの天然水を1対1の比率で合わせ、銅製の蒸留器でゆっくりと時間をかけて抽出されたローズエキスは、朝露をまとった花びらのようなみずみずしさと、摘みたてのバラを思わせる自然な香りをそのまま閉じ込めている。

バラが育つ環境もまた、物語に満ちている。農園は元々、冷涼で湿度が高く、農業に不向きとされがちな地域の耕作放棄地だった。それを同社が2017年に取得して有機認証の土壌へと生まれ変わらせ、今では約3000坪の敷地で1500本ものバラが美しく咲き誇る。
実は、紫外線が弱いこの冷涼な気候こそが、バラにとってはまたとない好環境。虫がつきにくく、花びらのみずみずしさが長持ちするのだ。「まるで天然のショーケースで育てたような高品質のバラです」と同社の代表、濱田美香子さんは胸を張る。それが化学的な調整を一切加えなくとも、専門家が絶賛するほどの芳醇な香りの秘密だそうだ。
アピイ社は、主に青森県内で福祉事業を中心に取り組む企業だ。地元で生まれ育った濱田さんは、事業を通じて地域に雇用を生み出し、誰もが安心して利用できる、誇りに思えるようなサービスやものをつくることを一貫して目指してきた。「私たちが運営してきた高齢者向け施設でも、安心・安全で美味しい食事の提供などにこだわってきた。青森の環境を強みにできるものはと考え、バラを育てることや、化粧品づくりへとつながりました」と濱田さんは語る。

最初は農園で育てたバラそのものの販売を考えたが、国内外での価格競争は厳しく、「これでは従業員の生活を守れない」と壁にぶつかった。食品関係の商品作りも探ったが、最終的にたどり着いたのは、使う人が品質を五感で感じることができ、その価値が伝わる高機能なスキンケア商品という方向性だった。
日本や世界に通用する化粧品ブランドを育てたい。その思いから、日本の「有機JAS」と、フランスの「エコサートCOSMOS」という2つのオーガニック認証を取得しており、蒸留から製造まで、国際基準の品質管理のもとで商品作りを行っている。ブランド名「Twelve」には、いくつもの意味が込められている。ヨーロッパで12本のバラに愛を誓う「ダズンローズ」の習慣。1年12ヶ月、十二星座や干支など、私たちの文化や時間に深く根ざした特別な数字。そして「常識にとらわれず自分だけの新しい扉を開けて挑戦する人を応援したい」という濱田さんの思いを、12章からなる物語「不思議の国のアリス」のキャラクターのイメージにも重ねて名付けたという。
「一見すると弱みに思えることも、視点を変えれば、その人やその土地だけが持つ最高の強みになる」。そんな濱田さんの言葉に、ブランドの哲学が宿る。バラの花が持つ力を肌へと届け、自分らしく輝ける勇気を与えてくれる、そんな商品を試してみてほしい。

